アメリカの成人学習論に先鞭をつけたと言われているマルカム・ノールズは、タスクや問題の詳細に焦点をあてるリフレクションと、当該タスクや問題の背景にあり、当然と思われていることを検証するクリティカル・リフレクションは質的に異なるとし、両者を明確に区別している。すなわち、仕事の手段を改善したり、目標や仮説、実際の結果を振り返ったりするリフレクションと、道徳的、論理的基準を含めて活動が公平なものであるかを振り返るクリティカル・リフレクションに分けて考える必要があり、変容的学習のためには、問題を解決するためのプロセスや方法に関する仮説を批判的に検討するクリティカル・リフレクションが必要となるのだ。
例えば、ある専門商社のマネジャーは、「お客様との関係構築のためには対面営業や接待が不可欠である」という信念を持っていたが、コロナ禍で商談がオンラインとなり、宴席が全くなくなったにもかかわらず業績が変動しなかったことをきっかけに、自身の信念に疑いを持ち、内省した。その結果、目的のない宴席や既に取引のあるお客様への訪問をオンライン営業に変えることを決断し、社員のオンライン営業におけるプレゼンテーションスキルの向上に力を入れたところ、業績が向上したという。
この事例は、自分の中で当たり前になっている信念や前提に疑問を持ち、見直しているという点で、自身の信念の正当性を評価するクリティカル・リフレクションの要素が含まれている。
メジローは変容的学習のプロセスを以下のように定式化している。
- 混乱を引き起こすジレンマ
- おそれ、怒り、罪悪感あるいは恥辱感の感情を持った自己吟味
- 仮説の批判的評価
- 自分の不満感と変容のプロセスが他者と共有されていることの認識
- 新しい役割、関係性、行為のための選択肢の探究
- 行動計画の作成
- 自分の計画を実行するための知識や技術の獲得
- 新しい役割を暫定的に試す
- 新たな役割や関係性における能力や自信を構築する
- 新たなパースペクティブの決定する条件の下で、自分の生活へと再統合される
経験学習とは、自らの仕事経験を振り返り、仕事の成功要因・失敗要因を内省・解釈し、その中から自分なりに活用できる教訓を引き出し、次の仕事に生かすことである。もちろん、経験から学習することは奨励すべきであるが、経験の解釈の仕方は人それぞれである。個人が持つ「準拠枠」によっては悪い経験学習が駆動され、組織にとってマイナスとなる教訓を生み出してしまう社員が発生することもあり得る。このようなことを避けるためにも、変容的学習に注目することが今後の人事施策を考えるうえでも有用であろう。
引用元:https://diamond.jp/articles/-/296889
「優秀さの罪」に嵌まったマネージャからは、マネージャの劣化コピーが生産される。
コピーしきれればまだましかもしれないが、
劣化し過ぎてしまうと、独り立ちもできない人になってしまうかもしれない。
自分は、そんな偉そうなことを言える立場の人間ではありませんが、、、
「人は教えられたことしか、人に教えることはできない」
と聞いたこともあります。
そこにはリフレクションがないのかもしれません。
変容的学習に注目していきたいと思います。
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